東京高等裁判所 昭和48年(ネ)1107号 判決
前示のとおり本件事故当時、恵美子は五年八月の女児であり当審における被控訴人本人正通の尋問の結果によれば、健康であったことが認められ、昭和四六年簡易生命表によれば、満五年の女子の平均余命は七一・六七年であるから、一八年から六七年までの四九年間は通常の労働及びその外に家事労働に従事することができたということができる。ところで、不法行為によって得べかりし利益を侵害された者の損害額の算出については、不法行為時に即時に金銭債権が生ずるのではなく(即時に金銭債権に変ずるのであれば、不法行為時の収入を基準として逸失利益額を算出すべきこととなる。)、右被害者には、一旦、原状回復請求権が生じ、右請求権を金銭的に評価することによって、金銭債権に変ずると考えることも可能であって、そうとすれば右評価の時期は、当裁判所に顕著な労働者の平均収入は、年毎に急増していることから考え、なるべくおそい時期すなわち口頭弁論終結時又はそれに近い時を基準時とすることがその適正を保つ所以となる。
(吉岡 兼子 榎本)